Idea Sound Product / IDEA-DSX Ver.1 レビュー

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日本は東京のハンドメイドペダルメーカー

黒筐体に色のついたスイッチハットとスイッチ周りのリングがLEDになっている

現行のシリーズの方が有名だとおもいますが、こちらはハンドメイド感あふれる無塗装のver.1

現行バージョンとの違いは不明のため、このバージョンのみのレビューです。

 

コントロールはvol. tone. gainと3段階の低域調整スイッチ

ヴィンテージのDS-1を基にしているらしく、トーンの効きもDS-1と同じ仕様です。

中を見ると赤のLEDがクリッピングに使われており、DS-1のクローンではなく

現代的な改良が加えられています。

 

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手持ちのDS-1と比較しつつレビュー

音はかなり迫力があり、通常のDS-1よりわずかにミドルが盛られていて

ギターの良く聞こえるおいしい部分が残りつつもDS-1らしいドンシャリ感というか歪みのエッヂがあり弾いていて心地よいです。

上記のミドルの豊潤さからか音も硬すぎずエフェクターらしさと自然なニュアンスの両方のいい部分を持ち合わせているように思います。

DS-1がエフェクターらしい素材そのままでアンプやほかの歪みと組み合わせる

のに向いた歪みだとすると、DSXはわりと単体でも完成された音が出るため

扱いやすいです。

音量はDS-1と比べて体感で2倍くらいあります。

とはいえものすごい爆音!ではないですが、レベルをフルまで駆使すればどんな環境でも音量が小さくて困るということはなさそう。

またDSXは低域の切り替えスイッチがあり、上ポジションがスタンダード、

中ポジションでローカット、下ポジションでローブーストといった感じで

クランチ設定でのキレを増したかったりハムバッカー使用でのもたつき

押さえたい場合はローをカットしたり、迫力をより増したかったり

シングルコイルで力強さを加えたい場合は下ポジションでローをブースト

させたりと用途が広いです。

特にDS-1はシングルコイルだとじゃりじゃりしすぎてトーンノブをかなり

下げる必要があるんですが、DSXはローを補強して音が太くなるため

シングルコイルのリアでも結構トーンノブを上げることができ、

そこがより迫力につながってるのかも。

 

以上。

クリッピングにLEDをつかっているためか、前段のエフェクト受けも良いです。

DS-1を持ってるけど思うように使えない、音量に不満がある、もっと音を前に出したいという方には勧めです。

 

 

 

JPTR FX / WARLOW FUZZ レビューと比較

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ドイツの新興メーカー。JPTRでジュピターと読むらしい。

モノトーンで無骨な見た目がドイツの厳しい寒さを感じて好きなデザインです。

 

コントロールはボリューム、トーン、サステイン、トーンフィルタースイッチ

見た目やコントロールから分かる通り、マフ系で、特にオペアンプマフを元にしているみたいです。

 

基本の音はオペアンプマフの低域が効いたウーリーな壁感、ゲインの高さ、他のマフと比べディストーションっぽく纏まってるのに高域〜倍音は広く拡散しているような気持ちの良い歪み感はしっかり捉えている感じで、

オペアンプマフの代用として十分使えると思います。

 

サステインノブ下にあるトグルスイッチはトーンフィルターを操作するものらしく、公式の説明文には

"Filter SwitchによるMuff* Style FilterとRat Style Filterの切り替えが可能。スイッチがジャック側にある場合はRat Style Filterが、フットスイッチ側にある場合はMuff Style Filterが選択されます。出荷時はRat Style Filterが選択されています。"

とのことで、2ポジションでマフ的なトーンかRAT的なトーンか選べるのか〜と思っていたらなんと3ポジションでした。

新品での購入なのでmodされている可能性は無く、バージョン違い?

トグルスイッチ上と下のポジションは説明の通り、上がミッドスクープ

され、トーン時計回りで高域が上がって低域が下がり、反時計回りで逆の

スタンダードなマフスタイルのトーン

下がRATのようにノブを右に回すと高域が抑えられるハイカットフィルターですが、

言ってしまえばオペアンプマフに搭載されているトーンバイパスモードに

イカットの機能が追加されただけともいえます

イカットしていくとフラットなトーンバイパスマフサウンドからだんだん音が

もったりと重たくなっていき、ファズフェイスのような粘りとスモーキーなファズ音

になります。

ベースでの使用や前段か後段に他の歪みを使ったり、アンプの設定次第では

かなり使えるコントロールです。

RATっぽい!というよりはトーンバイパスモードにハイカットフィルターが

あるという認識で操作すれば迷うことはないはず

音量はかなり大きめのモードですが、ハイカットしていくと音量も下がるため

適宜ボリュームもコントロールしてやる必要があります。

 

そして問題のトグルスイッチ真ん中のモードは鳴らした感じどうやら上のマフスタイルのトーンと下のハイカットフィルターが並列でミックスされているような感じで

左回し切り~12時まではハイカット、12時~右回し切りまでがマフスタイルのトーン

といった感じ、どちらかに回し切った音は各トグルポジションの回し切った音と同じです。

この真ん中のモードが結構良くて、

基本のオペアンプマフの音にトーンバイパスが混ざってミドルも程よく出て抜けが良く

トーンを絞っても12時以下はハイカットスタイルなので通常のマフのトーンより

こもらず、トーンバイパスの自然でフラットな歪みも味わえるバランスが良い且つ

唯一無二のトーンがあるモードです。

音量も下のモード程ではないですが上がるため、全体的にモディファイされたマフ

のようなバランスの良さとハイファイさがあります。

 

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中身はこんな感じでシンプル。電池は使用できません。

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このバージョンは内部にスイッチがあり

おそらくクリッピングを変更するものと思われます。

スイッチを切り替えてみると大きくは変わりませんが、歪みが若干浅くなり、エッジが丸くなる印象。

 

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最後に、手持ちのオペアンプマフ レナンドカフのEYE SEE '78と比較。

WARLOWのトグルは上のノーマルポジションで比べると全体的な質感は結構似てます。

歪み量はEYE SEEが深く、サステイン

コントロール11時くらいからもう歪み切ってる感じですが、WARLOWは割と常識的な効きで、

サステイン最大でマフらしい暴れる音になり、12時付近では他の歪みとも合わせたりできるクリーミーさ。

ボリュームは若干WARLOWの方が大きいです。

弾きごことはかなり近く、設定によってはほぼ同じ音にできます。

海外サイトをあさってみると、WARLOWはオペアンプの変更とクリッピングが一部減らす変更がされたオペアンプマフらしいとのことですが

確かにそんな感じ。クリッピングが減っている分、サステインの歪み始めが遅く

音量が若干大きくなっているのかも。サステイン最大値ではWARLOWの方がEYE SEEより若干歪み少ないかな?という感じですが、そもそもEYE SEEの歪みが深すぎて

最大値ではグズグズになるのでWARLOWくらいが常識的であはります。

 

以上。挑戦的な見た目に依らず、かなりスタンダートかつ現場寄りの実用的なチューンナップがなされた

非常に使いやすいオペアンプマフ系のファズです。

サイズもUSAフルサイズのマフより一回り小さく、取り回しも良いのでおすすめ。

 

 

 

 

Tone Freak Effects / ABUNAI レビュー

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2007年創業 カリフォルニアのブティックペダルメーカーのオーバードライブ
「ABUNAI」はビルダーのペットの名前らしい。インパクトがあるネーミング

 

現行品は「ABUNAI2」ですが、どう違うかは不明。

廉価版でほぼ変わりないという話から無印のが太いという話まで散見されますが、

基本的な仕様や設計は変わってない?

 

コントロールはLevel Tone Drive と3wayのスイッチ

TSをベースにした3モードOD…ランドグラフのDODインスパイアモデルで

昔結構人気あった記憶があります。

 

3モードODとしてくくられるモデルは、筆者は

Visionの3mode overdrive、CMAT MODSのSignaDrive、VFEのPale Horse
等を経験したことがあるのですが、その印象を踏まえて書くと
結構スタンダードな3モードOD。
コードの明瞭さやバリンバリンとガラスをはじいたような
クランチサウンドはSignaDriveに軍配にあがりますが、
音の太さはVisionに結構近く、存在感と伸びがあります。

スイッチの仕様は以下公式サイトを引用(ABUNAI2の説明)

3ウェイミニトグル:
ABUNAI 2™オーバードライブペダルには3つの異なるクリッピングセクションがあります。左側位置は対称クリッピングを使用し、クリッピング バリエーションの中で最も「アンプらしい」特性を持っています。このポジションは、他の 2 つのポジションと比較して、ゲインとコンプレッションが最も大きくなります。右側位置では、非対称クリッピングが行われます。この位置では、右側の位置に比べて出力音量が大きくなっていることがわかります。そのため、レベル コントロールを調整して補正してください。非対称クリッピングは、他の 2 つの位置と比較して、より「クラシック」な品質を生み出します。中間位置は「ダイオードリフト」位置とも呼ばれます。左と右の位置では信号をクリップするためにダイオードを使用しますが、中央の位置にはダイオードがないため、結果として得られるトーンは他の 2 つの位置よりも「オープン」になります。:中央の位置は出力音量が最も高くなるため、この位置を設定するときは注意してください。 

つまり、(おそらくシリコンダイオードによる)対称クリップ⇄クリッピングなし⇄非対称クリップ?らしいですが

弾いた感じ音量差は中央>左>>右といった感じで説明通りではない気がします

(説明文の最初の右側と左側に表記に誤植ある?)

音の感じは左右のポジションではTSっぽいコンプレッション感があるODで

通常のTS系より原音が混ざっている…というか歪みが浮いているような感じがせず、メイン歪みとして使えるような調整がされている感触

左ポジションですこし歪みにエッジが加わりオープンになるので

右はDrive抑えめ、左はDrive高めの設定で行くと良い感じになりそう。

中央のポジションはノンクリッピングのため音量がかなり上がりますが、

歪みが減るわけではなく、むしろ3つのモードの中で一番歪み、

TSっぽいクリッピングによる圧縮が無い分ディストーションらしい

野太さと反応性がある印象。他のモードとは別物です。

どのモードでも高域が出すぎず、倍音感があるため

トーンを下げてもこもりすぎない、あげても耳に痛くなりすぎない感じが

操作しやすいですね。最小から最大まで幅広く使えます。

 

音の全体の印象としてはどのモード、どの設定でも音が太いです。

い意味でも悪い意味でも取り除けない主張するローがあり、

どちらかというとシングルコイルのリア向き。Drive下げ目だと少し
そっけない反応ですが、Driveを上げれば上げるほど音も伸び気持ちよく弾けます。

ギターボリュームの反応はモードにもよりますがそこそこ。

凄く良く効くみたいな感じではないですが、問題ないレベル。

ピッキングニュアンスは近年のトランスペアレント系やRAT、BD-2などの
ジャキっとしたペダルと比べるとやはりTS系ベースなので
そこまで反応が良いようには感じませんが、それも弾きやすさにつながっていると思います。

常に中低域が充実していてドスが効いてるので弾いているときの安定感が
あり、メインドライブとして使ってもアンプやほかペダルをブーストして

使うときにも便利です。

メイン歪みとして使って、前段にTSを置いてブーストしてもいい感じ

状況によって対応できる幅も広く、3モードODが流行ったのも理解できる

サウンドです。

 

以上。ランドグラフは高すぎるけど3モードOD試してみたい、ブーストでもメインでも行ける良いODが欲しい方はおすすめ

今特別プレミアついてる感じはないですが、店によって相場が大きく異なる印象あるので安いところ見つけたらぜひ

 

JAM PEDALS / RATTLERレビューとRATとの比較

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ギリシャのハンドメイドブランド。

目を惹く大胆なペイントが特徴のメーカーで

本機はビンテージのRATのフルクローンではなく若干改良を加えたモデルだそう。

コントロールはレベル、トーン、ゲインで

トーンの効きはオリジナルのRATと違って右に回すとハイが強調される(左に回すとハイカットされる)通常のトーン仕様

 

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中身。オペアンプはLM308 クリッピングにLEDが片方追加されていて非対称クリッピングになっています。

 

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◆音のレビューとRAT1(black face)との比較

まずRATTLERは全体的に太く柔らかいです。

意外とあんまりRATを感じないというか、

基本の音はRATに似つつもスイートスポットがRATとは違うように感じます。

クランチなどのゲイン浅めの設定ではちょっと歪みの切先がカサついてるというか、キレや色気がないそっけないクランチに聞こえるんですが、

ゲインをあげてガッツリ歪ませるとギュッと固まり感のあるザ・クラシックディストーションみたいな音が出て、そこはRATより優っているように思いました。RATよりもゲインを上げた時の潰れ感が減っていて、単純に使える領域が広い。

RATは耳に食いつくようなハイミッドが特徴的ですが、RATTLERはそれが薄い感じがしたのと、RATと比べると比較的低域が出ていてファットなのがそう感じる所以かも。

音量はRATより大きめで使っていて不満はないです。

また、クリッピングを変更しているせいか前段のブースト受けがよく、RATの前段にオーバードライブを繋いでブーストしても歪みは増えるけど音は引っ込む…みたいな不満が若干解消されています。前述のハイミッドの落ち着き具合から、RATTLER自身をブースターにしたり、メイン歪みの後段に置いてマフのように歪みを上書きするのにも良い感じに使えます。

 

以上。ビンテージRATの代わりになるか?といわれたらちょっと難しい気がしますが、

太くクラシックなディストーションサウンドが欲しい方や、他の歪みやRATそのものと組み合わせて使いたい方、RATがそもそもあまり好きにじゃない方におすすめ。

 

 

 

Guyatone / トレモロペダル弾き比べ VT2, VT3, VT-X比較

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90年代のグヤトーンからトレモロ3機種比較。グヤトーンはマイクロシリーズ以前には(おそらく)トレモロをリリースしておらず、なぜ90年代に入って大量に出したのかは不明…なにやらこの時期ビンテージギターのブームが起きたようですがそれに追従してよりクラシカルなエフェクトが求められていたのか…?当時を知らないのでご存じの方はコメント等で教えてください。

 

■全体的な印象

比較の前に3機種に共通する印象ですが、揺れがかなり心地よいです

トレモロは単純に音を上下させるモジュレーション系エフェクトで単純に思われがちですが、スピードの最速・最遅値、揺れる波の形、音量の最大・最小値で大きくキャラクターが変わり、そこにメーカーの特徴が濃く出ます

この時代のグヤトーンのトレモロはとにかく自然で滑らかな揺れとトレモロの谷の部分(音量が最小になるところ)が浅めで音が途切れすぎずに繋がりながら揺れる感じが結構好きです。

逆に言うとズババババ!みたいな現代的なマシンガントレモロは得意ではなく、名前の通りあくまでヴィンテージトレモロの枠ですね

 

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■VT2 VINTAGE TREMOLO

おそらくGUYATONE最初のトレモロ

揺れの形は矩形波っぽいけどキレがなく角が丸くて台形みたいな

サイン波と矩形波が合わさったような揺れ方でそれがアンプのトレモロっぽく良いです

ただ音量がかなり下がるのでこれ単体で使用してそのまま前に出るトレモロサウンド

作ることには向いてません。

そのまま使う場合は音量を下げつつ穏やかにトレモロをかけたいパートに使うか、
目立たせたい場合は後段にクリーンブースターで補正してやるかって感じになりそう

個人的に好きな使い方は、あらかじめアンプをある程度ひずませておくかメインの歪みの前段に置く方法。音量が下がる=後段のゲインが下がることを利用して

歪みをおとしつつトレモロをかけるような使い方ができ良いです。

音は3機種のなかでは一番まろやか 派手にかからず音量が下がる分地味では在りますがかけっぱなしでも使える、癖になる音です

 

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■VT3 VINTAGE TREMOLO

VT2の後継機?音量が下がるのが不評だったからかVT3は音量が上がります。

クリーンの状態で使い場合ちょっと目立つ程度かな?くらいの音量差ですが、前段に歪みペダルやクリーンブースターを置いている場合しっかりとソロをとれるくらいの

顕著な音量の上がり方です。

音の揺れ方はVT2と変わらないはずですが、音量を上げるようになって増幅段が追加されたからなのか音が固めではっきりしてます。

原音からは確実に大きくなるので、前述したアンプや歪みのゲインを落としつつトレモロをかける用法ができなくなり、代わりに後段で扱いやすくなったような感じですが

前に出る目立つトレモロが欲しい!という人以外はこの音量の上がり方はちょっとやりすぎ…というか、もう少し音量小さかったらなぁ…と逆の不満が出そう

前述の通り揺れ方はTV2譲りの穏やかさなので、派手なトレモロをかけたい人にとっても揺れがすこし物足りないかも…

ヴィンテージ的なアンプのトレモロかつ音量もがっつり上がってほしい人にはうってつけですが用途が狭い印象です。

ただ全体の雰囲気としては後述のVT-Xに似てはいます

 

 

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■VT-X FLIP VINTAGE TREMOLO

真空管搭載のトレモロでジョンフルシアンテやTOOLのベーシスト,

ジャスティン・チャンセラー使ったとかで人気が高いモデルです。

 

音はグヤトーンのトレモロが持つ滑らかさと穏やかさを保ちながら派手で強烈、

サイケデリックな揺れ方のトレモロです。揺れの種類をNORMALとEMPHASISから選択できますがNORMALはサイン派、EMPHASISはTV2 VT3の台形っぽい角が滑らかな揺れをさらに強調したような感じで、マシンガンサウンドのような現代的なぶつ切りではない別の効果の強さ…というか、濃厚さがあります。
音量はちょうどよくなってる…と思いきやVT3より上がります。笑っちゃうくらい音がデカく、かつ前に出るので、バッキングやアルペジオのアクセントとしてのトレモロみたいな使い方が難しいです。どうしてもこのトレモロの音がアンサンブルの主役になることが避けられないため、トレモロの音が欲しいというより「VT-Xの音が欲しい」という考え方になります。

 

揺れの速さはSLOWとFASTから大まかに選択肢しSPEEDノブで調整

揺れが低い設定でもそこまで遅くならず、どちらかというとFASTスイッチが
より揺れを早くする機能のように考えると扱いやすいです。

FAST側の一番早い設定でBOSSのトレモロより少し速いくらい。エレハモのPulsarのようにリングモジュレーター的になる領域まではいきません

 

トーンは全体のトーンコントロールで、こもらせる方向にはよく効きますが高域を出す方向には鈍いです。そこも含めてヴィンテージなのかも

 

真空管搭載のため、歪みやブースターの受けが良く、単純に音が太くワイルドになります。

揺れの深さを最小にしてプリアンプ/ブースター的に使うのもかなり良く、おすすめです

VT-Xのみステレオ出力があり、別々のアンプに出力した時、交互に揺れを送るパンニングエフェクトの効果もあります。
揺れ方自体に変化はないとおもうんですが、EMPHASISモードの時2台のアンプで鳴らすと、

台形っぽい揺れが効いているのか、音量の片方のアンプの上がり始めと
もう片方のアンプの下がり始めが干渉してフェイズが干渉したような…

ただ音量の上がり下がりではないビブラートか薄いフィルターモジュレーション

がかかったような独特の揺れ方をします。

ステレオでトレモロを使う機会ってそんなにないと思うんですが

この音だけでVT-Xを買うのもやぶさかではないくらい唯一無二のサウンドです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

electro-harmonix / Hot Wax レビュー

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2017年発売。

同社のディストーション、Hot Tubes nano と

オーバードライブのCrayonを合体させた2in1モデルとのことですが、いろいろと仕様が違います。後述

 

コントロールはHot(Hot tubes側)のレベルとドライブ、

Wax(Crayon)側のレベルとドライブ

共通のベース、トレブルEQに共通のドライミックス。

コントロールからわかる通りただの2コイチではなく

Hot Waxはトーンがマフスタイルのもの一つだけだったHot Tubesに対して2EQになっているため元のモデルとかなり印象が違って暴れすぎず扱いやすいです。

トレブルとベースを個別に弄れるので両方とも下げてミドルを強調し、オリジナルでは消せなかったギャリギャリした感じを柔らかくしたり、

ベースを上げ切ってファズっぽい音にしたりフレキシブルです。

 

Wax側(Crayon)の元ネタはBB preampときいたことがあるんですが、

BB preampは所持していたものの、Crayonは持っていないためWax側とBBの比較になりますが

どことなくTS系に感じる原音の混ざったような、コンプがかかったような音の感じは薄め

ミドルが張り出たODでわりかし歪みそっくりというわけではないですが同じ用途では使えそう。ブースターにする場合はトレブル下げ目、メインドライブにする場合は上げ目が好み。

 

Hot側は前述したように2トーンになっているので印象は少し違いますが

RATにも近い硬質なトーンはオリジナルと似ており、ゲインを上げていくと

低域がスモーキーにつぶれるのもそれっぽいです。

ボリュームはかなり大きめ。シングルコイルでバイパスとの音量バランスを

取るなら10時前後になりそう。

 

各チャンネルのレビューは以上ですが、このHot Wax最大の特徴は
下段のEQとBLENDノブで、

下段EQはなんと2チャンネル共通のマスターEQです。

それ普通じゃない?と思うかもですが、2チャンネル同時にONにした場合

トーンは最後段のHotチャンネルに効くので、実質Wax側はEQが無いBBpreamp系のブースターが効いていることになります。

実際ブースト感はナチュラルで、音が破堤しにくく、腰砕けになることがない

しっかりディストーションになる感じがあります。

BLENDノブはクリーンミックスですが、EQと同じく最後段で処理しているので

がっつり歪ませた音をうっすらミックスして独特な音を作ったり

ベースで使うのもよし、他の歪みと組み合わせるのも良しの便利なコントロールです。

個人的に好きな使い方はバンドで合わせたときにちょっとぬけが悪いなとおもったらクリーンを少しだけブレンドしてあげる方法。

クリーンが混ざってるとわからないくらい微妙にブレンドしてあげると

がっつり歪ませても音に芯が残るし、ブーストするときに歪みと一緒に音量もすこし上がって良いです。

 

VOODOO LAB / BOSS TONE レビューと比較

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VOODOO LABの初期モデル。2ノブモデルは大きなノブが特徴的。

BOSS TONEはその名の通り1967年に発売されたJordan Bosstoneのクローン。

噂によると名前の問題でJordanではなくBOSSに怒られたらしく(真偽不明

名称変更の際にノブを増やしてSUPER FUZZとしてリリースされたとか。

VOODOO LABのSUPER FUZZは以前レビューしているのでそちらもご参照ください

nota-p.hatenablog.com

 

■BOSS TONEのレビュー

LEDなし、アダプタは使えますが昔のRATやマフのようにピンジャックです。

ノブはVOLUMEとATTACK。VOLUMEは音量、ATTACKは歪み量です。

音量はそれなりで大体13時~14時くらいで迫力が出始めるちょうどいい音量

最大で十分大きいのでブースターでも行けます

ATTACKは最小だと音が出ないタイプ。歪みの幅は狭く、あげていくと

歪み量というよりはファズっぽいコンプレッションが上がっていく感じ

BOSSTONEはトランジスタ2石のファズでリリース時期からよく

FUZZFACEと並んで語られますが、使い方は似ているものの音は別。

意外とハイが出てコード感が明瞭なのにも関わらず荒い潰れ感もあり

ATTACKを下げてもモコモコすることがなく、ノブがどの位置でも使いどころ

があります。前段にバッファやワウをつないでいてもある程度しっかり

動作してくれるところも魅力。特にワウとの組み合わせは結構食いつきが良く

好きな音です。

ギター側のボリュームへの反応はそこそこ。完全なクリーンにはなりづらいですが

使えるクランチ程度にスムーズに落ちるので、FUZZFACEは極端すぎるという方には

むしろ使いやすい可能性があります。シングルコイルの場合、トーンを絞ると

固まり感とクリーミーさが出るので手元でのコントロールが楽しいファズです。

単体でも使えますがマーシャル・フェンダーなどのクランチに設定したアンプの

ブーストにも良いです。ただ、ハイが出ている分ハウリングしやすいので

ノイズなく綺麗にファズ音を出したい人はハムでの使用かシングルでもトーンを絞り

ペダル側のコントロールを控えめにする必要があります。

 

■SUPER FUZZとの比較

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SUPER FUZZはBOSS TONEから低域を増減するRESONANCEとミドルを増減する

TONEが追加されたバージョンアップモデル。

SUPER FUZZは今年サウンドハウスで新品で購入したので特に初期がどうみたいなのは無いです。

BOSS TONE中身

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SUPER FUZZ中身

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使用しているトランジスタはMPSA18と2N2907の組み合わせで最新でも同じ(すごい)

トーンとレゾナンスが追加されている分SUPER FUZZは回路が複雑です。

 

 

弾き比べた感じ、音はまぁまぁ似てますが完全に似せるのは難しかったです。

基本RESONANCEとTONEを12時にするとBOSS TONEと似た感じになりますが

BOSS TONEは中低域のふくよかさとファズっぽい粘りが気持ち多くあり

SUPER FUZZはもう少しだけディストーションよりの扱いやすさ。

ATTACKを上げていくと違いがより顕著で、チープな表現ですが

BOSSTONEの方が音が太い…というかファズらしいクリーミーさがあり、

ボリュームを上げたときの圧もBOSSTONEの方が強いです。

実際SUPER FUZZはトーンでミドルを上げたりドンシャリにしたりできるので

ディストーション的に使える選択肢が多く、使い方で好みが分かれそう。

ボリューム操作はBOSS TONEの方がやりやすい

アンプのブーストとしての用途はSUPER FUZZでもバッチリできます。

設定上げすぎるとハウリングしやすいのも同じ。

ただSUPER FUZZはBOSS TONEよりも気持ちバッファの影響受けやすい気がします。

ワウの利きがきもちいのもBOSS TONEのほうですね。

 

以上。

BOSS TONEはファズらしいビンテージよりな音、SUPER FUZZはより現代的な

ディストーション的な音っぽく、傾向は同じですがアプローチのしかたが違う

のが面白いです。どちらもよいファズなので見かけたらおすすめです。