OD-820は日本の老舗エフェクトペダルメーカーMAXONが
1999年にリリースしたオーバードライブ。
ドライブノブをクリーンミックスと同軸のコントロールにしたり、
電源昇圧をおこなっていたりなどでKlonのCentaurインスパイヤ系のペダル
ですが、発売当時は特にその情報が広まっておらずしばらく特にケンタウロス
系という付加価値は意識されなかったものの、純粋な音の良さから
プロアマ問わず評判が良かった印象があります。
僕自身も何度か貸してもらったり所有したり…と経験があるモデルですが
今回電池蓋が付いた現行モデルと
おそらく初期仕様であろうモデルが手に入ったので、比較していきたいと思います。
OD820は何度か細かい表記や見た目の仕様が変わっており、
MAOXNの公式サイトのFAQ(かなり詳細に質問回答されているので
エフェクター好き向けの読み物としてもおすすめ)の情報も含めて
確認すると、
初期(1999~2005年頭くらいまで)
・LED透明(2005年頃にLED赤に変更)
・筐体上部にDC IN. 9V/10V ONLYの表記
・裏蓋が筐体色と同じ緑で、
シリアルナンバー以外の表記や注意書き、CE表記なし
※写真のノブは残念ながらオリジナルではない
現行(2008年7月以降)
・LED赤色
・筐体上部にDC IN~の表記なし
・筐体裏がプレートに変更、注意書きラベルにシリアル、CE表記、
”DC INPUT 9V”表記(10Vでの駆動表記がなくなる)、その他情報表記
かつ、この間にもラベルの表記等の細かい変更があったみたいです。
ちなみに発売開始からすべての期間でトゥルーバイパスのようですが
9Pスイッチを使った一般的なトゥルーバイパスではなくMAXON独自の
6Pスイッチを使ったバイパス方式のようです。
バイパス音はトゥルーと謳っているとはいえ少しだけ変化はあるかも
ただ嫌な感じではなく、気持ち音がまとまる感じです
OD820の基本の音の印象として、
まずMAXONといったら思い浮かぶのがOD-9(TS系)の高・低域が抑えられて
中域に集まったオーバードライブサウンドが印象的ですが
OD820はあまり高低域が削れておらず、ワイドで自然なトーンです。
歪み方もコンプ感がありながら頭打ちみたいな詰まった間隔が無いというか
ニュアンスを生かす方向に良い塩梅でコンプレッションがかかっていく感じで
ここが最大の長所だと思います。純粋にギターが弾きやすくなるので
メインの歪みとして使う人も多そうです。
ドライブノブを最小にするとクリーン信号のみが出る仕様で、
このクリーン信号は完全なクリーン(バイパス音)ではなく、ボリュームと
トーンが効く、つまり歪みが無くトーンが効くワイドレンジブースターのようになります。
低音が削れず艶やかに音が出るので、PUの出力調整からアンプのブースト、
逆にハリを保ったまま高域を落としたり音量を下げたりといろいろな使い道が
でき便利です。
ドライブノブを上げると歪みがミックスされていき、ドライブ最大でも
凄く歪む!というわけではなく、OD-9等のTS系と同等か少し多いくらい
ただ、上記のコンプレッションの関係で、歪みが浅くても気持ちよく弾ける
ポイントが多いです。
アンプのブースターとしての使用は低音が削れにくい分、TS系のような
昔のマーシャル等の暴れる低域をまとめたりギターソロ向きの音を作ったり
するのは少し不向きですが、アンプを自然にゲインアップもしくはコードorパワーコードをより力強いものにしたり
コンプレッションを生かしてそこまで歪んでいなくても音が伸びるような
味付けをするのに向いています。
初期と現行の違いですが、
弾き比べたところ大きな違いは無く、同じ使い方ができます。
個体差やパーツの経年劣化の可能性があることを前提として、細かい違い
について比較すると
・初期:気持ち歪み部分がTS系のように中域にまとまる(すこしクワっとした
ミドルのクセがある)、全体的にすこしスッキリしていて、ドライブノブ
最小の状態だと気持ちきらびやかなサウンド
・現行:歪みに弦の軋みというか、プレゼンスのギラつきがあり勢いがある
(耳に痛い感じではない)中低域が気持ち濃密で押しが強め 元気なサウンド
以上、違いを上げましたが同じ使い方ができるくらいには同じなので、
手に入りやすいものを買って問題ないと思います。
僕はどちらも好きです。
参考:筐体内部・基板
初期
現行