グヤトーンのMighty Microシリーズのトレモロ
このシリーズは今までのMicroシリーズのモデルをブラッシュアップした
ような機種が多く、トレモロも90年代から続くVTシリーズの系譜にあるように
思います。
コントロールは全体の音量を操作するVOLUME、トレモロの深さをコントロールする
INTENSITY, トレモロスピードをコントロールするSPEED,
トレモロの波形をサイン波, 三角波, 矩形波から選べるスライドスイッチと全体のトーンをコントロールするHi Roll Offノブ
音は歴代グヤトーンのトレモロの音を引き継いだ、温かみがあり滑らかな
トレモロです。
グヤトーンのトレモロは音量が小さくなる部分を谷、音が出ている部分を山とすると
谷が少なく山の面積が広い感じがあり、INTENSITYを割と深くかけても弾いている音が
途切れにくく、音の大小ではなく音量の波として認識しやすい雰囲気があります。
特にサイン波での緩やかなトレモロはどんなスピードでも自然に聴こえ、音量の
上下だけなのに揺れている感じがあるので、マシンガントレモロ的な使い方以外で
トレモロを使っているけど、設定がいまいち決まらない…とか、
とにかく自然なトレモロが欲しい!という方には非常におすすめ。
また本機はレベルコントロールがあるため、軽く音量を上げてトレモロの音量低下を
解消して目立たせたり、逆にがっつりレベルを落とした状態で歪みの前に置いて
トレモロをかけると同時に音量を下げることによって後続のペダルやアンプの歪み
を落としてクリーンにするような使い方もできます。
(音量については後記のDIPスイッチについての動作も参照)
Hi Roll Offはトレモロではあまり見ない機能ですが、特にトレモロの揺れをまろやかにしたり、矩形波の時に音がブツ切れになってから音が戻るときにある程度音を
マイルドにすることができ、意外と重宝します。
また、INTENSITYを最小にすればトレモロがかからない設定にもできるため、
音量を下げるプリセットボリューム的な使い方や、Hi Roll Offと合わせて
ブースター的に使うのもいけたりと多目的に使えます
波形についてはサイン波(Sin)が一番揺れが少なく穏やか、三角波(Tri)で普通の
トレモロっぽい雰囲気、矩形波(Sq)でマシンガン的な用法もできる派手なサウンド
でどれも特徴がはっきりしていて使いやすく迷うことがないです。
■内部DIPスイッチ
2つのDIPスイッチありますがマニュアルが確認できなかったため詳細不明
弄ってみたところ
DIP SW 1 →音量が上がる
DIP SW 2 →音量が下がる
感じで、DIP1がON>DIP1&2がOFF>DIP1&2がON>DIP2がON
くらいで全体の音量が調整できます。
使用する機器によって調整するのがよさそう。
DIP1がONの一番音量が大きい設定では
僕の所持するストラトだとLEVELノブ11~12時付近でユニティゲイン
で、ブースターとしても使用できる感じになり汎用性が高いです
■VT-Xとの比較
名機と名高い同社VT-X Vintage Tremoloとの比較
ちなみにVT-2, VT-3と比べる場合VTm5が使い勝手や汎用性の面で完全に
勝っています。やはりレベルコントロールがあるのがありがたい。
VT-Xは真空管搭載のトレモロという点がVTm5と一番違う点ですが、
コントロールは波形を選択できたり、ハイカットコントロールがあったりと
似通っている部分もあります。
波形について、VT-XのNORMALはVTm5のSin、EMPHASISはVTm5のTriに
聴覚上似ており、VTm5のSqモードはVT-Xに無い波形の感じでそこは
勝っていますね
真空管のセレクトによると思いますが、僕のVT所持しているVT-Xは
音量が大きく、軽く音が歪んでいて(浅いクランチくらい)そのあたりが
真空管の温かみっぽく感じるかも
トーン(VTm5ではHi Roll Off)の利きは両方とも最大or最小でハイカットなし
ハイカットした状態ではVT-m5の方がより強くハイカットされ、VT-Xはすこし
こりっとした中域が残る感じです。
トレモロスピードは最遅では両機とも同じ、一番早い設定ではVT-Xの方が
高速で揺れます。
トレモロの深さもVT-Xの方が上。よくエグい揺れと言われますが、
VT-Xはエグイながらもかけっぱでも不思議と行ける自然さが同居していて
そこも好きなポイントですね。
VTm5も基本の音の傾向や波形の揺れ方は似ているので、エグみを重視しなければVTm5でもアリです。
VT-Xは12Vで少し取り回しが悪いですが、VTm5は通常の9V
また、VT-Xは全体のボリュームの操作ができず、しかもかなり大きいので
他のペダルとの組み合わせに苦労する印象ですが、VTm5は前記のDIPスイッチ
の設定も含め細やかなボリューム設定ができ、しかも小さいので、
取り回しやほかペダルとの組み合わせの面ではVTm5の圧勝です。
ただ、VT-Xはステレオ駆動した時に非常に素晴らしい揺れが体感できるので
ステレオ使用できる環境であればVT-X一択です。
以上、名機VT-Xとがっつり比較できるくらい完成度が高く、何より
中古で見かけることが少ないですがおすすめ