Guyatone / トレモロペダル弾き比べ VT2, VT3, VT-X比較

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90年代のグヤトーンからトレモロ3機種比較。グヤトーンはマイクロシリーズ以前には(おそらく)トレモロをリリースしておらず、なぜ90年代に入って大量に出したのかは不明…なにやらこの時期ビンテージギターのブームが起きたようですがそれに追従してよりクラシカルなエフェクトが求められていたのか…?当時を知らないのでご存じの方はコメント等で教えてください。

 

■全体的な印象

比較の前に3機種に共通する印象ですが、揺れがかなり心地よいです

トレモロは単純に音を上下させるモジュレーション系エフェクトで単純に思われがちですが、スピードの最速・最遅値、揺れる波の形、音量の最大・最小値で大きくキャラクターが変わり、そこにメーカーの特徴が濃く出ます

この時代のグヤトーンのトレモロはとにかく自然で滑らかな揺れとトレモロの谷の部分(音量が最小になるところ)が浅めで音が途切れすぎずに繋がりながら揺れる感じが結構好きです。

逆に言うとズババババ!みたいな現代的なマシンガントレモロは得意ではなく、名前の通りあくまでヴィンテージトレモロの枠ですね

 

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■VT2 VINTAGE TREMOLO

おそらくGUYATONE最初のトレモロ

揺れの形は矩形波っぽいけどキレがなく角が丸くて台形みたいな

サイン波と矩形波が合わさったような揺れ方でそれがアンプのトレモロっぽく良いです

ただ音量がかなり下がるのでこれ単体で使用してそのまま前に出るトレモロサウンド

作ることには向いてません。

そのまま使う場合は音量を下げつつ穏やかにトレモロをかけたいパートに使うか、
目立たせたい場合は後段にクリーンブースターで補正してやるかって感じになりそう

個人的に好きな使い方は、あらかじめアンプをある程度ひずませておくかメインの歪みの前段に置く方法。音量が下がる=後段のゲインが下がることを利用して

歪みをおとしつつトレモロをかけるような使い方ができ良いです。

音は3機種のなかでは一番まろやか 派手にかからず音量が下がる分地味では在りますがかけっぱなしでも使える、癖になる音です

 

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■VT3 VINTAGE TREMOLO

VT2の後継機?音量が下がるのが不評だったからかVT3は音量が上がります。

クリーンの状態で使い場合ちょっと目立つ程度かな?くらいの音量差ですが、前段に歪みペダルやクリーンブースターを置いている場合しっかりとソロをとれるくらいの

顕著な音量の上がり方です。

音の揺れ方はVT2と変わらないはずですが、音量を上げるようになって増幅段が追加されたからなのか音が固めではっきりしてます。

原音からは確実に大きくなるので、前述したアンプや歪みのゲインを落としつつトレモロをかける用法ができなくなり、代わりに後段で扱いやすくなったような感じですが

前に出る目立つトレモロが欲しい!という人以外はこの音量の上がり方はちょっとやりすぎ…というか、もう少し音量小さかったらなぁ…と逆の不満が出そう

前述の通り揺れ方はTV2譲りの穏やかさなので、派手なトレモロをかけたい人にとっても揺れがすこし物足りないかも…

ヴィンテージ的なアンプのトレモロかつ音量もがっつり上がってほしい人にはうってつけですが用途が狭い印象です。

ただ全体の雰囲気としては後述のVT-Xに似てはいます

 

 

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■VT-X FLIP VINTAGE TREMOLO

真空管搭載のトレモロでジョンフルシアンテやTOOLのベーシスト,

ジャスティン・チャンセラー使ったとかで人気が高いモデルです。

 

音はグヤトーンのトレモロが持つ滑らかさと穏やかさを保ちながら派手で強烈、

サイケデリックな揺れ方のトレモロです。揺れの種類をNORMALとEMPHASISから選択できますがNORMALはサイン派、EMPHASISはTV2 VT3の台形っぽい角が滑らかな揺れをさらに強調したような感じで、マシンガンサウンドのような現代的なぶつ切りではない別の効果の強さ…というか、濃厚さがあります。
音量はちょうどよくなってる…と思いきやVT3より上がります。笑っちゃうくらい音がデカく、かつ前に出るので、バッキングやアルペジオのアクセントとしてのトレモロみたいな使い方が難しいです。どうしてもこのトレモロの音がアンサンブルの主役になることが避けられないため、トレモロの音が欲しいというより「VT-Xの音が欲しい」という考え方になります。

 

揺れの速さはSLOWとFASTから大まかに選択肢しSPEEDノブで調整

揺れが低い設定でもそこまで遅くならず、どちらかというとFASTスイッチが
より揺れを早くする機能のように考えると扱いやすいです。

FAST側の一番早い設定でBOSSのトレモロより少し速いくらい。エレハモのPulsarのようにリングモジュレーター的になる領域まではいきません

 

トーンは全体のトーンコントロールで、こもらせる方向にはよく効きますが高域を出す方向には鈍いです。そこも含めてヴィンテージなのかも

 

真空管搭載のため、歪みやブースターの受けが良く、単純に音が太くワイルドになります。

揺れの深さを最小にしてプリアンプ/ブースター的に使うのもかなり良く、おすすめです

VT-Xのみステレオ出力があり、別々のアンプに出力した時、交互に揺れを送るパンニングエフェクトの効果もあります。
揺れ方自体に変化はないとおもうんですが、EMPHASISモードの時2台のアンプで鳴らすと、

台形っぽい揺れが効いているのか、音量の片方のアンプの上がり始めと
もう片方のアンプの下がり始めが干渉してフェイズが干渉したような…

ただ音量の上がり下がりではないビブラートか薄いフィルターモジュレーション

がかかったような独特の揺れ方をします。

ステレオでトレモロを使う機会ってそんなにないと思うんですが

この音だけでVT-Xを買うのもやぶさかではないくらい唯一無二のサウンドです。