Wren and Cuff / FADE FONT レビュー(mid90s BUBBLE FONT, CIVIL WARとの比較)

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ファズフェイスやマフなどのクローンで定評のあるレナンドカフから、90年代中期のロシアンマフのクローン。2023年に発売されたオペアンプマフクローンのEYE SEE'78 FULL-SIZED SPと同じラインのフルサイズシリーズ。

前回オリジナルのSwollen Pickleと同じく、友人であるulm(https://twitter.com/ulm_nagoya )のギタリスト、ツジさんからFADE FONTと比較用にCIVIL WAR(!!)をお借りしました。マジでいい経験をさせていただいています。感謝。

nota-p.hatenablog.com

 

 

■Wren and Cuff FADE FONT

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Wen and Cuff公式説明文によると

FADE FONTは、Wren and Cuffが所有する1994年製のロシア製ヴィンテージマフからインスピレーションを得て開発されました。

同じヴィンテージロシアンマフをもとにしたTall Font Russianよりもラウドでアグレッシブなサウンドが特徴です。

とのことで、同じWen and CuffのTall Font Russianをただ大きくしただけのモデルではないとのこと。残念ながら同社Tall Font Russianを弾いたことが無いのでその2機種の比較はできないのですが、前述の通りお借りしたオリジナルのCivil Warと、筆者が所持している90年代中期のバブルフォント(何台か弾き比べて、ゲイン、音量ともに一番アグレッシブだと感じて残した個体)との比較を記事後半で行うと思います。

一般的なトールフォントのコピーモデルのいくつかと、バブルフォントとトールフォントの過渡期のオリジナルモデル(配線、回路はトールフォント、印字のみバブルフォント)は弾いたことがありますが、筆者的にはトールフォント系は歪みの質感が若干固めで低域が筆者が体験したバブルフォントより思い切りが無くあまりいい印象がありませんでした。その経験と印象でのレビューのためあらかじめご了承ください。

 

■コントロール・仕様

コントロールはVOLUME, DISTORTION, TONEのスタンダードなロシアンマフ。
電池使用可能のようです。素晴らしい!!!
外見含めてオリジナルのロシアンマフと差はなく、代替品として違和感なく使用可能だと思います。

もはや当たり前ですが、トゥルーバイパスによってバイパス時音の変化がないのも魅力的です。オリジナルのいわゆる地雷スイッチはバイパス音量がすこし下がって高域も堕ちる印象だったので、これは地味にうれしい。

また、バブルフォント以降のロシアンマフはINが左側、OUTが右側にある通常のペダルとジャック配置が有名ですが、FADE FONTは通常どおり右IN、左OUTなのでそこも使いやすいです。

 

■音の印象

歪みの柔らかさと暴力的なまでの低域、トーンの柔軟性は僕が思うロシアンマフのイメージそのままで、ここはEYE SEE '78でも感じたヴィンテージ・オリジナルらしさをしっかり感じる音になっています。特にトーンは上げ気味でもしっかりとローが残るのでベースでもギターでも迫力のあるサウンド。歪み量はそこまで多くなく、冷静に聴くとオーバードライブなのかもと思うくらい実際の歪み量は低いですが、そこを暴力的にあふれ出るローで迫力を演出している感じがあり、パワーコードのリフや単音のリード、他の歪みと組み合わせるのに向いています。あと後述しますがかなり音量が大きいです。
ローがかなりマシマシなところから、フロントPUで使った場合音がつぶれやすいです。ここはリアPUで使用したり、前段の歪みと組み合わせてミドルをプッシュしたり等で解消可能ですが、むしろシングルリアの細い音を太く歪ませるのに向いています。

 

■各ロシアンマフとの比較

・CIVIL WAR

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90年代初頭の世間での評価も高い貴重なモデル。音の印象はファズと言うよりは単体で完成されたディストーションで、特にトーンの位置で歪みのキャラクターが劇的に変化し、どの位置でも使いやすい(特にトーンを絞った時にこもらず前に出る)感じがラムズヘッドに近いものを感じてかなり感動でした。これは別枠で欲しい…というか特にトーンの効き方で優秀なクローンモデルがあったら教えて欲しいくらいです。FADE FONTといい意味ではあまり似ていません。

 

・mid90s BUBBLE FONT

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筆者所持のバブルフォント。基本の音やトーンの効き方、歪み量はFADE FONTにかなり近くて、元になったものが同じくらいの時期のモデルなのかなと思います。

 

・FADE FONT

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音の印象は上記の通りですが、単純に他のモデルより音量が大きく、ここがアグレッシブに感じるポイントだと思います。音が大きいマフ代表のHizumitasほどではないですが、他のマフ系と比べても明確に音量が大きく、とにかく使っていてストレスが無いのが素晴らしいです。

 

以上。ロシアンを集めつくした方のにも、初ロシアンマフの方にも強くお勧めできるモデルです。価格は高めですがマフが好きなら買えるうちに買った方が良いかも。