RogerMayer / Spitfire レビュー

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ジミヘンのサウンドエンジニアの作るペダルとしてではなく、Voodoo-1やVoodooBassといった定番機種やDI、プリアンプ等の高級スタジオ機材でも支持を得ていながら、いまいち使用感の情報が少ないブランドでもあります。

Spitfireも例外ではなく、多少レビューや動画はありますが実際どういう雰囲気のペダルか?と言われるとよくわからなかったので今回手に入れてみました。

 

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コントロールはVolumeとDriveのみ。駆動は電池のみで、回路もシンプルなもの。オペアンプはLM301AN

 

音の印象は……まさしくディストーション!!
とはいってもDS-1のようなドンシャリで切っ先が鋭いタイプではなく、RATを少し強めに歪ませたときのローミッドに重心があり太い音を少しだけアンプっぽい自然な質感にしたサウンドに感じました。おそらくDriveを上げきってもピッキングのコキャっとしたニュアンスが残るのが残るのがアンプっぽく感じる所以かも。強めに歪ませてもRATのように腰砕けせず、PUの種類は選ばずハムでもシングルでもしっかり歪みます。PUフロント位置で強く歪ませるとブーミーになってファズっぽくなる程度のバランス感で、単体で歪ませる場合はフロントでクリーミーなソロをとったり、リアでクリーン→ハードなディストーションに向いています。

逆にRATとは違い、Driveが低い位置でも鋭いクランチにはならず、インプット段で結構ハイカットしているのかくぐもった感じのローファイなオーバードライブになり、この音も結構好きです。

 

Driveがどの位置でも全体的に長めのカールコードを繋いでアンプ直でつないで歪ませたような感じで、Driveは最小でも音は消えないタイプ且つ、最小でも軽いオーバードライブくらいは歪んでます。昨今の質のいいアンプライクペダルにあるような各弦の分離が強調されたジャラーンとした音ではなく、アンプの温かみや滲みを強調したジョワーンとした音の印象。

 

ボリュームはセンター位置だと小さめに感じますが、最大で結構大きいところまで稼げるので困ることはないです。

 

ギターボリュームへの追従は特筆するほど良くはないです。普通に歪みは落ちるけど高域が残ったり解像度が上がったりなどのマジックは無い。

 

前段バッファによる音の影響は、多少弦の分離が良くなる程度で基本の音は変わらず、高域が目立って出ることもないのでどの位置でも使えます。特に前段のオーバードライブやブースターの受けが良く、Driveが低い状態でプリアンプ的に使ってゲインアップにTS等のオーバードライブでブーストするとさらにアンプを使っているような質感に近づきます。

 

また、Spitfire自身をブースターとして、Drive最小、Level最大で使用してもかなりいい感じです。若干ハイカットされて音が太くなっている分耳障りな音は増幅されず、ローミッドあたりを中心に気持ちよくブーストしてくれます。

 

以上、ハイゲイン時のRATをRogerMayer的に解釈し、さらにちょっとアンプライクさも足したようなディストーションだとおもいます。

 

余談

購入後気になって同社Mongooseのワウの半止めっぽいヴォイジングを無くしたバリエーションモデルなのでは?と思いGuitar FX Layoutsを調べてみるとどうやらオペアンプトランジスタが違うこととMongooseにコンデンサが一個追加されてる以外は同じようです。

といってもMongooseは独特のワウの半止め的な音が特徴なので、どちらかもっていればいいという話でもないのが難しいところ。