JangleBox / JB NANO レビュー

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The Byrdsのギタリスト、ロジャー・マッギンが愛用の12弦のリッケンバッカーに内蔵されているコンプレッサーを基にペダル化したJangleBoxをさらにMXRサイズにまでコンパクトにし、3ポジションあったトーン切り替えスイッチうち暗すぎるDARKをオミット、さらにフットスイッチでNORMALとBRIGHTを切り替えられるようになったモデル。

 

コントロールのGAINは全体的な音量、ATTACKはコンプレッション量(一般的なコンプのアタックノブではない)

操作のイメージとして、アタック、レシオ、スレッショルドなどのコンプの基本的なコントロールは固定で、GAINがマスターボリューム、

ATTACKがインプットゲインのような挙動をしていて、最小にすると音が出なくなります。ATTACKを上げる(=インプットゲインを突っ込む)ほど音圧が上がり、パコパコしたコンプ感も増え、それをGAIN(=マスターボリューム)で調整するイメージで操作するとわかりやすいです。

音の印象として、もちろんコンプ感がありATTACKを上げればダイナコンプばりのカッティング・フィンガーピッキング向きのパコパコとした圧縮の強いサウンドになりMAX付近ではかなりパツパツな音に。ダイナミクスも均一になるんですが、不思議とどんな設定でも破堤がなく、高級マイクプリアンプを通したような繊細さと奥行きが出るような気がします。

おそらく僕が感じている繊細さと奥行き感は単純に特定の中高域が引っ込むのに加えて、JB MINI元々のレシオの高さとリリースの遅さにあるかなと思います。

小さなニュアンスも非常に良く拾い、サステインが異様なほど伸びます。

この特性から、シングルコイルのギターで歪みの前にかませるとハムバッカーのような太さと

伸びが手に入ります。レベルを稼いで通常のODやブースターのようなブーストをしなくて済むので余計な歪みが欲しくない時に良いです。

 

2つあるスイッチのうち、左がエフェクト/バイパススイッチ、右がトレブルブーストスイッチ。

トレブルブーストスイッチは別途トレブルブースターが入っているわけではなく、単純にコンプのトーン切り替えスイッチ(おそらく初段でのローカット?)

なので、エフェクトがONになっていないと効きません。

エフェクトOFF時にトレブルブーストのインジケータもまとめて消えてしまう仕様で、今トレブルブーストを有効にしているかどうかがOFF時に見えないのは少し不便かも。

 

トレブルブーストはかなり音の輪郭がはっきりし、前に出る感じで、カッティング向きなジャキジャキサウンドへ変貌します。

何と組み合わせても結構目立つので、コンプをかけっぱにして奏法やソロなどで切り替えたり、ファズをさらに過激にしたり、ギターボリュームを絞った時の高域落ちを補ったり、逆にトレブルブースト入れた時を基本の音として

ブーストOFFでバッキングしたり、

使い道はいろいろありそうです。

 

注意点は純粋なブースターではないのでレベルが変わるわけではない(でも明らかに前に出るような音になるので音量は体感上上がってるように感じる)ことと、トレブルブーストに関してはコントロールが無いこと。内部トリマも存在しません。ブースターというよりはトーン切り替えスイッチとしてみた方が扱いのイメージはしやすそうです。

 

コンプにしては珍しく(?)インピーダンスのミスマッチで高域をまろやかにする設計のため、バッファや他のエフェクターが前段にあると高域が強調されます。特にトレブルブーストONの場合は薄い鉄が震えるようなビリビリしたプレゼンスが出てくるようになりますが、破堤はせず、むしろ音色のバリエーションとして楽しめます。

バッファ後の音が気に入らない方はアンプの設定やギター側のトーンでなんとかなる。

 

以上。

流石にMXRサイズで2スイッチは個人的に踏みにくいのでパッとつけるなどの対策はしますが、コンプの枠に収まらない、直感的にいい音を作れる良質なコンプ/プリアンプです。

コンプ初めての方やコンプ苦手な方にも非常におすすめ。

値段が高いですが、価値はあります。