Devi Ever / Hyperion レビューと Soda Meiser との違い

f:id:nota_p:20240329154143j:image

 

ノイジーでローファイなファズペダルを多数リリースしている
devi everの中でも特に「ビッグマフキラー」として名高い初期の名機。

devieverの各種モデルはデザインやコントロール仕様・販売元等が
時期によって結構変わっていて、音も微妙に違う感じがするのですが
本機は絵柄やコントロールを見るに初期の方の個体っぽいです

 

コントロールはVolumeとControl

Volumeは音量で比較的大きめ。セッティングによっては10時以降上げられない!

みたいになることもあるので、音量下げたい場合は向かないですが

音量が足りずに困ることは無いです。

 

Controlは歪みの質をコントロールするノブで、

Control最小だとギター側のトーンをすべて絞って電圧を下げて少しベルクロぽくなった

RATのようなローファイディストーション的な雰囲気で、ノイズが皆無な代わりにギター側のボリュームを絞るとすぐに無音になりますが

Controlをあげていくとスーパーファズのようなオクターブファズっぽいブジャっとした

歪みを伴った高域が出てきます。

Controlを上げていくほどジャキっとした部分が出てきますが、上記の通りオクターブファズっぽい
ギターの自然な歪みじゃない作ったような高域のジャキジャキ感が他では味わえない
感触で結構癖になります。

少し音の芯が残る感じがオーバードライブ味も感じ、意外と複雑なトーンです
意外とコード感も無くならずぐしゃぐしゃになりにくいので意外とメインの歪み
としても使えます。
ただコードを弾いた時の音は分離があるにもかかわらずブシャっとした歪みの質からか
塊として音が出てくる感触があります。

Controlを上げるとベルクロ感も無くなり、ノイズも出てきますが、ファズにしては
かなりノイズが少ない方なので全体的に扱いやすいです。

ローがそこまで出るタイプではないのでハムバッカーのギターにもいい感じで
意外とギターを選ばないのも名機と言われる所以でしょうか

欠点として、インピーダンスに影響を受けるタイプの回路なため
ローインピーダンスに変換した後だとハイとノイズがかなり増えます
BOSS等のバイパス時にもバッファを通るタイプのペダルや、前段で歪みを
ONにしておいて後段でHyperionを重ね掛け…というような使い方には
あまり向いておらず、あまりボードの組み込みの取り回しが良くないです。

 

■BIGMUFFキラー?

リリース当初BIG MUFFとして賞賛されたよう(実際に手にしたユーザーが言い始めた
のか、最初から製品の宣伝文句として存在していたのかは謎)ですが、
正直マフとは似ていないです。というか似ていないからこそBIG MUFFを殺す
新世代ファズとして受け入れられた部分もありそう。

クリーンからコードをかきむしるエモーショナルなファズとしての使い方をする場合
たしかにマフよりもコード感が出て、弾く本人の「弦をかきむしってる手応え」を強く
感じるのでそのあたりが強みですね。ローが出すぎないのも抜けに直結している
ように思います。
ただ、前記の通り前段にバッファやほかの歪みがある場合は音が変わるので、
マフのようにメイン歪みの後につないで歪みを上書きするような使い方はできません。

むしろHyperionの後段にビッグマフを繋いでさらに歪み量と轟音感を増やす手法は
かなり相性が良いので、BIGMUFFキラーというよりマフがすでに入っているボードには
追加で入れてもいいくらい

 

■Soda Meiserとの比較

f:id:nota_p:20240329154158j:image

 

同じく初期の名機とされるSoda Meiserとの比較
単体レビューはこちら↓

nota-p.hatenablog.com

 

両機ともControlノブを上げていくと歪み感を伴ったオクターブファズっぽい歪み
が出てくるのは変わらないですが、Sode MeiserはHyperionとくらべてかなり低域寄り
でブーミーかつ太く、コードよりも単音リードやパワーコード、ヘヴィな轟音向きです

また、Soda Meiserもインピーダンスで音が変わるタイプですが、ローがもともと
かなり強く、しかもバッファ後でも安定して低域が出るため、むしろバッファ後の

ほうが使いやすい感じがあり、前段の歪み受けも良いため、
BIGMUFFと同じ使い方ができるのはSoda Meiserの方です。

Hyperionは単体で音が完成されてるため、クリーン主体で激しくしたいときに

一気に歪ませるセッティング向け、Soda Meiserは基本ギターの音が歪んでいて

後段でさらに歪ませたり大きな音を出したい人向けです。

 

歪みの質は同じ感じですが音はかなり違うので購入を検討されている方は

用途によって選んだ方がよさそうです。

Guyatone / VTm5 Veri Trem レビューとVT-Xとの比較

f:id:nota_p:20240327232547j:image

グヤトーンのMighty Microシリーズのトレモロ
このシリーズは今までのMicroシリーズのモデルをブラッシュアップした

ような機種が多く、トレモロも90年代から続くVTシリーズの系譜にあるように

思います。

 

コントロールは全体の音量を操作するVOLUME、トレモロの深さをコントロールする

INTENSITY, トレモロスピードをコントロールするSPEED,

トレモロの波形をサイン波, 三角波, 矩形波から選べるスライドスイッチと全体のトーンをコントロールするHi Roll Offノブ

 

音は歴代グヤトーンのトレモロの音を引き継いだ、温かみがあり滑らかな

トレモロです。

グヤトーンのトレモロは音量が小さくなる部分を谷、音が出ている部分を山とすると

谷が少なく山の面積が広い感じがあり、INTENSITYを割と深くかけても弾いている音が

途切れにくく、音の大小ではなく音量の波として認識しやすい雰囲気があります。

特にサイン波での緩やかなトレモロはどんなスピードでも自然に聴こえ、音量の

上下だけなのに揺れている感じがあるので、マシンガントレモロ的な使い方以外で

トレモロを使っているけど、設定がいまいち決まらない…とか、

とにかく自然なトレモロが欲しい!という方には非常におすすめ。

 

また本機はレベルコントロールがあるため、軽く音量を上げてトレモロの音量低下を

解消して目立たせたり、逆にがっつりレベルを落とした状態で歪みの前に置いて

トレモロをかけると同時に音量を下げることによって後続のペダルやアンプの歪み

を落としてクリーンにするような使い方もできます。

(音量については後記のDIPスイッチについての動作も参照)

 

Hi Roll Offはトレモロではあまり見ない機能ですが、特にトレモロの揺れをまろやかにしたり、矩形波の時に音がブツ切れになってから音が戻るときにある程度音を

マイルドにすることができ、意外と重宝します。

また、INTENSITYを最小にすればトレモロがかからない設定にもできるため、

音量を下げるプリセットボリューム的な使い方や、Hi Roll Offと合わせて

ブースター的に使うのもいけたりと多目的に使えます

 

波形についてはサイン波(Sin)が一番揺れが少なく穏やか、三角波(Tri)で普通の

トレモロっぽい雰囲気、矩形波(Sq)でマシンガン的な用法もできる派手なサウンド

でどれも特徴がはっきりしていて使いやすく迷うことがないです。

 

■内部DIPスイッチ

f:id:nota_p:20240327232608j:image

2つのDIPスイッチありますがマニュアルが確認できなかったため詳細不明

弄ってみたところ

DIP SW 1 →音量が上がる

DIP SW 2 →音量が下がる

感じで、DIP1がON>DIP1&2がOFF>DIP1&2がON>DIP2がON

くらいで全体の音量が調整できます。

使用する機器によって調整するのがよさそう。

DIP1がONの一番音量が大きい設定では

僕の所持するストラトだとLEVELノブ11~12時付近でユニティゲイン

で、ブースターとしても使用できる感じになり汎用性が高いです

 

 

■VT-Xとの比較

nota-p.hatenablog.com

 

名機と名高い同社VT-X Vintage Tremoloとの比較

ちなみにVT-2, VT-3と比べる場合VTm5が使い勝手や汎用性の面で完全に

勝っています。やはりレベルコントロールがあるのがありがたい。

 

VT-Xは真空管搭載のトレモロという点がVTm5と一番違う点ですが、

コントロールは波形を選択できたり、ハイカットコントロールがあったりと

似通っている部分もあります。

波形について、VT-XのNORMALはVTm5のSin、EMPHASISはVTm5のTriに

聴覚上似ており、VTm5のSqモードはVT-Xに無い波形の感じでそこは

勝っていますね

真空管のセレクトによると思いますが、僕のVT所持しているVT-Xは

音量が大きく、軽く音が歪んでいて(浅いクランチくらい)そのあたりが

真空管の温かみっぽく感じるかも

トーン(VTm5ではHi Roll Off)の利きは両方とも最大or最小でハイカットなし

イカットした状態ではVT-m5の方がより強くハイカットされ、VT-Xはすこし

こりっとした中域が残る感じです。

 

トレモロスピードは最遅では両機とも同じ、一番早い設定ではVT-Xの方が

高速で揺れます。

トレモロの深さもVT-Xの方が上。よくエグい揺れと言われますが、

VT-Xはエグイながらもかけっぱでも不思議と行ける自然さが同居していて

そこも好きなポイントですね。

VTm5も基本の音の傾向や波形の揺れ方は似ているので、エグみを重視しなければVTm5でもアリです。

 

VT-Xは12Vで少し取り回しが悪いですが、VTm5は通常の9V

また、VT-Xは全体のボリュームの操作ができず、しかもかなり大きいので

他のペダルとの組み合わせに苦労する印象ですが、VTm5は前記のDIPスイッチ

の設定も含め細やかなボリューム設定ができ、しかも小さいので、

取り回しやほかペダルとの組み合わせの面ではVTm5の圧勝です。

 

ただ、VT-Xはステレオ駆動した時に非常に素晴らしい揺れが体感できるので

ステレオ使用できる環境であればVT-X一択です。

 

以上、名機VT-Xとがっつり比較できるくらい完成度が高く、何より

トレモロとしての揺れが気持ちよい魅力的なトレモロです。

中古で見かけることが少ないですがおすすめ

 

MAXON / OD820 レビューと初期・現行の比較

f:id:nota_p:20240312195932j:image

OD-820は日本の老舗エフェクトペダルメーカーMAXONが

1999年にリリースしたオーバードライブ。

ドライブノブをクリーンミックスと同軸のコントロールにしたり、

電源昇圧をおこなっていたりなどでKlonのCentaurインスパイヤ系のペダル

ですが、発売当時は特にその情報が広まっておらずしばらく特にケンタウロス

系という付加価値は意識されなかったものの、純粋な音の良さから

プロアマ問わず評判が良かった印象があります。

 

f:id:nota_p:20240312195946j:image

僕自身も何度か貸してもらったり所有したり…と経験があるモデルですが

今回電池蓋が付いた現行モデルと

おそらく初期仕様であろうモデルが手に入ったので、比較していきたいと思います。

 

OD820は何度か細かい表記や見た目の仕様が変わっており、
MAOXNの公式サイトのFAQ(かなり詳細に質問回答されているので
エフェクター好き向けの読み物としてもおすすめ)の情報も含めて
確認すると、

 

f:id:nota_p:20240312200002j:imagef:id:nota_p:20240312200009j:image

初期(1999~2005年頭くらいまで)
・LED透明(2005年頃にLED赤に変更)
・筐体上部にDC IN. 9V/10V ONLYの表記
・裏蓋が筐体色と同じ緑で、
 シリアルナンバー以外の表記や注意書き、CE表記なし

※写真のノブは残念ながらオリジナルではない

 

f:id:nota_p:20240312195932j:imagef:id:nota_p:20240312200027j:image

現行(2008年7月以降)
・LED赤色
・筐体上部にDC IN~の表記なし
・筐体裏がプレートに変更、注意書きラベルにシリアル、CE表記、
 ”DC INPUT 9V”表記(10Vでの駆動表記がなくなる)、その他情報表記

 

かつ、この間にもラベルの表記等の細かい変更があったみたいです。

 

ちなみに発売開始からすべての期間でトゥルーバイパスのようですが

9Pスイッチを使った一般的なトゥルーバイパスではなくMAXON独自の

6Pスイッチを使ったバイパス方式のようです。

バイパス音はトゥルーと謳っているとはいえ少しだけ変化はあるかも

ただ嫌な感じではなく、気持ち音がまとまる感じです

 

OD820の基本の音の印象として、

まずMAXONといったら思い浮かぶのがOD-9(TS系)の高・低域が抑えられて

中域に集まったオーバードライブサウンドが印象的ですが

OD820はあまり高低域が削れておらず、ワイドで自然なトーンです。

 

歪み方もコンプ感がありながら頭打ちみたいな詰まった間隔が無いというか

ニュアンスを生かす方向に良い塩梅でコンプレッションがかかっていく感じで

ここが最大の長所だと思います。純粋にギターが弾きやすくなるので

メインの歪みとして使う人も多そうです。

 

ドライブノブを最小にするとクリーン信号のみが出る仕様で、

このクリーン信号は完全なクリーン(バイパス音)ではなく、ボリュームと

トーンが効く、つまり歪みが無くトーンが効くワイドレンジブースターのようになります。

低音が削れず艶やかに音が出るので、PUの出力調整からアンプのブースト、

逆にハリを保ったまま高域を落としたり音量を下げたりといろいろな使い道が

でき便利です。

ドライブノブを上げると歪みがミックスされていき、ドライブ最大でも

凄く歪む!というわけではなく、OD-9等のTS系と同等か少し多いくらい

ただ、上記のコンプレッションの関係で、歪みが浅くても気持ちよく弾ける

ポイントが多いです。

 

アンプのブースターとしての使用は低音が削れにくい分、TS系のような

昔のマーシャル等の暴れる低域をまとめたりギターソロ向きの音を作ったり

するのは少し不向きですが、アンプを自然にゲインアップもしくはコードorパワーコードをより力強いものにしたり

コンプレッションを生かしてそこまで歪んでいなくても音が伸びるような

味付けをするのに向いています。

 

初期と現行の違いですが、

弾き比べたところ大きな違いは無く、同じ使い方ができます。

個体差やパーツの経年劣化の可能性があることを前提として、細かい違い

について比較すると

 

・初期:気持ち歪み部分がTS系のように中域にまとまる(すこしクワっとした
 ミドルのクセがある)、全体的にすこしスッキリしていて、ドライブノブ
 最小の状態だと気持ちきらびやかなサウンド
 

 

・現行:歪みに弦の軋みというか、プレゼンスのギラつきがあり勢いがある
 (耳に痛い感じではない)中低域が気持ち濃密で押しが強め 元気なサウンド

 

以上、違いを上げましたが同じ使い方ができるくらいには同じなので、

手に入りやすいものを買って問題ないと思います。

僕はどちらも好きです。

 

 

参考:筐体内部・基板

 

初期

f:id:nota_p:20240312200124j:image

 

現行

f:id:nota_p:20240312200136j:image

Menatone / Ms, Foxy Brown レビュー

f:id:nota_p:20240223130222j:image

 

1996年から続くブティック系ペダルの老舗 Red SnapperやKing Of Britainsなど

オーバードライブ~アンプライクなディストーションあたりで評価が高いモデルが多い印象。

 

今回のMs, Foxy Brownは

Menatone Ms Foxy Brownは、シンプルなVol/Toneコントロールアメリカンアンプ、ブラウンフェイスのデラックスアンプのサウンドをベースとしています。

Menatone/Ms Foxy Brown – LEP INTERNATIONAL

らしく、歪む方のフェンダー系を基にしたアンプライク系の歪みです。

コントロールはvol, gain, sag, toneの4つ

toneは普通に高域の増減、volは体感結構大きめ

gainは最小だと音が出ないです。アンプ的と捉えるならgainが1ボリュームアンプのボリュームノブで、volが増設されたマスターボリュームみたいな感じでしょうか。

 

sagは低域の歪み量らしく、インプット段で低域のレベルが調整されている感じで、

sag最小だとすこしジャキっとした歪み量控えめですがニュアンスやよく出るオーバードライブ的な感触、

sag最大だと低域が一定で出る安定感と歪みのブリブリ感が増え、ジャキジャキした硬い高域とモロンモロンとした柔らかく飽和した低域が混ざり合う

ツイードっぽいサウンドに。歪みの質感も決してスムーズではなく、

なんなら設定によってはベルクロ系に片足突っ込んでるのでは?というくらい

荒々しい歪みですが、そこも含めて無理して歪ませたアンプっぽい雰囲気があります。

低域も高域も暴れて弾きにくい音のはずなのにダイナミクスを自然に表現する

ことができて不思議と弾きやすく、アンプライクといった感じで面白いです。

 

基本アンプのような歪みとして使いたいかオーバードライブとして扱いやすくorブースターとして使うかでsagの位置が変わってくるので、最初にどちらかに振り切って微調整するとよさそう。

音がリッチすぎるアンプライク系は後段のペダルとの相性があまりよくない

印象があるのですが、本機はなんにでも合わせられる感じがあり場所をえらびません。

 

ギターボリュームへの反応は良好。

前段のブースト受けはTSやクリーンブースターなどのスタンダードなオーバードライブやブースト系ペダルであれば相性良いです。

もともと低域が飽和してる音のため前段にファズは相性が悪めですが

本機自身がファズ的な暴れ感があるため、素直なブーストがちょうどよい感じ。

低域が豊かなようでいて無駄に出すぎてないので、後段にマフなどを繋ぐ場合でも意外と相性が良いです。

 

以上、かなり独特な音なのに生々しくアンプっぽさをビシビシ感じる

良いオーバードライブです。ひしゃげる寸前の迫力あるコードや、叫ぶような

チョーキングトーンが欲しい方にはマスト

 

 

 

TECH21 / Boost D.L.A レビュー

f:id:nota_p:20240201220824j:image

サンズアンプシリーズでお馴染みのTECH21からテープエコーモデリングのデジタルディレイ

この見た目の前にフットスイッチが一つだけの初期仕様がありますが、Boost D.L.AがTECH21初のディレイペダルだったみたいです。

現行は見た目が白ベースのフルカラープリントみたいなデザインに変わっていますが、中身や音に変更あるかは不明。

 

コントロールはMIX, FEEDBACK, TONE, TIME,

LEVEL, FLUTTERの6つとTRAIL, TRIPLETSのスイッチ

 MIXは最小でドライ音のみ最大でキルドライ

FEEDBACKは14時過ぎから発振します。トーンの設定にもよりますが結構強烈

TONEはディレイ音のハイカットで、最大でデジタルらしい原音に忠実なクリアなディレイ。

最小(ハイカットしきった状態)ではディレイの輪郭がなくなりダークなリバーブ的な音までカバー

TIMEは大体1秒くらいらしく、タップテンポも1秒までの入力しか対応できません。

LEVELは全体の音量を上げることができ、

最小で音量は下げられるが無音にはならない。 12時付近でエフェクトOFF時と同じくらいでそのままレベルを上げていくとMIXで落ちた音量の補正を超えて、ソロなどで音を前に出したり、アンプを軽くブーストできるくらい音量が持ち上がります。

FLUTTERはディレイ音にピッチモジュレーションをかけることができ、ピッチ揺れの早さではなく深さを設定できます。

音の印象は気持ち暖かめのデジタルディレイで

素の音はBOSS DD-3に似てる感じがします。

イカットのトーンコントロールが良い塩梅で効くのでかなり柔軟に、そして素早くそれっぽい音が作れるのがモデリング系ペダル老舗のTECH21らしいですね。

本機はモジュレーションディレイでディレイとモジュレーションを同時に操作できるため、

FEEDBACKとTIMEを最小付近に、 MIXを12時前後にしてFLUTTERを上げるとコーラスに、そのまま MIXを最大にするとヴィブラートに、

 MIXを12時付近に戻しFEEDBACKを上げるとフランジャーになったりかなり用途が広いです。

また、 MIXを最初にしてLEVELを操作すればブースターに、TIMEとFLUTTERを最小、 MIX最大にしてTONEをいじればハイカットトーンになったりとディレイ/モジュレーション以外の用途にも使えます。

コーラスとしての使用はトーンでまろやかにもできるし、かなかな存在感があるコーラスになっておすすめです。

 

エフェクトON/OFF時に音切れはなく押し心地も軽くスムーズ。タップテンポスイッチともギリギリまで距離が離れていて踏みやすさに配慮されている感じがします

 

TRIPLETSスイッチをONにするとタップテンポで設定したディレイが三連符に

 TRAILスイッチをONにするとエフェクトを切ってもディレイの減衰が残るが、発振対策のためかだいたい4.5秒くらい(説明書では5秒の表記)経つとぶつ切りになりますが仕様。

エフェクトOFF時にバイパススイッチを踏んだままでいるとぶつ切りにならず減衰が継続します。

またエフェクトONのままだったり、エフェクトOFFにして4.5秒経過前までに再度ONにした場合でも減衰はぶつ切りにならないため、そこまで困ることはなさそうですが独特です。

(トレイルスイッチがOFFの場合はどの操作をしてもスイッチを押した瞬間にディレイ音が切れます。

 

以上。デジタル的な細さみたいなのは感じず、

むしろ音量ブーストできる分存在感が増す良ディレイです。全体の音量を上げられるディレイは貴重なため、持っていて損なし。

 

Montreux / Knebworth ii レビュー

f:id:nota_p:20240110235349j:image

Montreux × CMATMODSタッグのマーシャル系ディストーション「Knebworth」の

マイナーチェンジモデル。無印のレビューは過去の記事で書いているのでそちらを

ご参照ください。

nota-p.hatenablog.com

 

コントロール

 

無印からの大きい仕様の変更は

・ブーストセクションがオミットされ、スイッチが一つになった

・MODIFYスイッチ(2ポジション)からクリッピング(3ポジション)へ

の2つ。コントロールは変更なく、

LEVEL, GAIN, TREBLE, MIDDLE, BASSですが、回路に変更あるかは不明

 

クリッピングスイッチは表示を見るに

LED⇄クリッピングなし⇄ダイオードでよくある3モード系

 

基本の音は高域がバシャっとはじけてローのドスが効いている

マーシャルっぽいニュアンスがある歪みで、これはどのモードでも変わらず。

EQは前のモデルよりマイルドというかEQ間の干渉が薄くなった?感じで扱いやすいです。

音量もどれかのモードが極端に小さくなったり大きくなったりがないのも良いですね。

 

音の質感もクリッピングどそこまで大きく変わることは無いですが

LEDがいちばんマーシャルっぽく元気な歪み、クリッピング無しがいちばん

ピッキングに反応、ダイオードはぎゅっと圧縮されてまとまっている感じ

 

ZvexのBox of rockやその他現代的なマーシャル系と比べるとアンプっぽい生々しさ

は薄く、ピッキングニュアンスもそこまで過敏には反応しない

「マーシャル的な特徴を持った歪みエフェクター」然とした感じです。

したがって、アンプの代用だったりアンプシミュレーター的な使い方を

しようとすると期待外れになるかもしれませんが、わかりやすい出音や

強弱があまりつかないことからくる弾きやすさはTS系の歪みをマーシャル化したような雰囲気を感じます。

 

以上。「エフェクターらしさを感じるマーシャル系の歪み」自体が近年あまり見ることがないですが、最近のアンプライク系にはない魅力があります。

 

Westminster Effects / WE-EXG Exegete レビュー

f:id:nota_p:20240202100234j:image

 

丸い筐体で有名なBixonxcのExpandoraのクローンモデル

nota-p.hatenablog.com

当ブログでもオリジナルのレビューをしたことがありますね。

コントロールはVOLUME TONE GAINとExpandoraオリジナルの内部に搭載

されているDipスイッチが表に出たような感じで、蓋を開けなくてもスイッチ

操作できるのが便利です。

スイッチは上方向がONで、オリジナル裏蓋の説明に則ると

1=ON 2=ON クランチモード

1=ON 2=OFF ディストーションモード

1=OFF 2=ON オーバードライブモード

1=OFF 2=OFF 隠し(ファズ)モード

になっているはずですが、EXEGETEはディストーションモードよりオーバードライブモードの方が圧縮感があってディストーション的なニュアンスがあります。

音の印象はオリジナルと変わらず、嫌なピークが無いがすこし素朴でそっけない歪み感。

艶やかさやマジックみたいなものはないけどどの状況でも使いやすく、

様々な環境で答えてくれそうな便利な道具といった印象は変わらず。

ですが、記憶の中のオリジナルより歪み量が気持ち少ない気がします。

というかディストーションモードとオーバードライブモードで歪み量の差があまり無く、圧縮感だけ微妙に違うような感じで、ディストーションといえるまで歪みません。

どのモードもバランスが取れていて使いやすいですが、前段にブースターを入れたり、EXEGETE自身をブースターとしてつかったり、単体で使うよりは

何かと組み合わせることに特化しているような印象です。

クランチモードでプリアンプ的に使って、他歪みの角を取る使い方が個人的に好き

 

隠しモードのファズの音も健在で、ゲート感があって野太い音はdevi everっぽいニュアンスもあります。

この手のベルクロ系ファズは前段にバッファや他の歪みを足すと音が変わってしまうこともあるのですが、EXEGETEは特に音の変化が無いです。

意外とクリーミーで普通にリードトーンとしても使えるのが良いですね。

 

f:id:nota_p:20240202100246j:image

WESTMINSTER EFFECTSはソフトクリックのスイッチを採用していて、

スイッチノイズが無いのが売りですが、ON-OFF時にわずかな音切れがあります。

弾きながら切り替えるたり、サビの頭などでバーンと歪ませるために使いたい方はタイミングによっては音の頭が消えてしまうのが結構ストレスかも。

 

以上

個人的に音切れが少し残念でしたが、Expandora系のペダルってなかなか無いので選択肢として増えるのはありがたいです。

音もオリジナルを踏襲した使いやすいサウンドなので、音切れ時に気にならないorループやスイッチャーに組み込み前提の方にはおすすめできます。